シャガールとリトグラフと値段

複製画には、「版画」と「印刷」があります。

「版画」は、小学生にでもわかるいわゆる「版画」です。

「印刷」は、PCに保存した写真をプリンターで印刷するのとおなじ理屈です。

「印刷」は美術品とは言えないですね。


それでは、リトグラフやシルクスクリーンなどの「版画」にはどのぐらい価値があるでしょうか?


作家が、リトグラフなどを意図的に制作手法としてえらび、作品を作った場合にはそれなりの価値があります。

その分かりやすい例が、シャガール(Marc Chagall/1887-1985)です。

シャガールは、リトグラフによる作品を積極的に手がけました。

時代の風潮もあったのでしょう。

まずはグアッシュなどで原画を描きます。

それをパリにあったムールロ工房(Mourlot Studios)にもっていき、版画職人シャルル・ソルリエ(Charles Sorlier)に刷ってもらいました。

ソルリエご指名です。

(ムールロ工房は、、マティス、ボナール、ブラマンク、ユトリロ、レジェ、ブラック、ドュフィ、デビュッフェ、ルーブルやテイトなど大手美術館ポスターの仕事もしていました。)


25部とか50部とか、限定された部数で、シャガールが検品し、署名しました。

後刷りはいっさいナシです。


シャガールのリトグラフ作品でいちばん値打ちなのは、1940年代後半〜50年代、60年代に、こうして制作されたものです。

「アラビアンナイトから4噺(Four Tales from the Arabian Nights, 1948)」
古代ギリシアの恋愛物語「ダフニスとクロエ(Daphnis and Chloe, 1961)」
「サーカス(Cirque, 1967)」
「オデッセイ(Odyssey,1974)」

今日、値段にひらきはありますが、数十万円〜数百万円です。

エディションナンバー入り・サイン入りで、1950年代、60年代の、サイズができるだけ大きい作品。

そういうのに出会ったことあったらラッキーです!

シャガールの値打ちものリトグラフをみつけようとおもったらこれです。

また、シャガールには、当時の高級美術雑誌(*)に織り込んだリトグラフもあります。

* "Derriere le Miroir" "Verve (1937-1960)" "XXe siecle (1960-1980)"

これらもシャガール本人が手がけたもので、エディションナンバー入り・サイン入りです。

印刷部数は限定リトグラフよりも多いので、値段は相対的にさがります。

今日、20万円とか30万円とかが多いです。せいぜい50万円ぐらいまでではないでしょうか。

シャガールのリトグラフとしては、ねらいどころのひとつです。

それ以外にも、サインなし、エンボスサイン、版上サイン、たんなる印刷(リプロダクション)、贋物・・・

いろいろなものが出回っています。

なかには、シャガールの遺族会が複製を承認したのもあるのかもしれません。

でも、ちょっとまぎらわしいですね。

ここらを見極めて、購入することになります。

最低限「エディションナンバー+サイン」はおさえてください。

シャガール本人によるリトグラフ作品はすべて記録にあります。

真贋に疑問があれば、調べることもできますし、フランス著作権協会(ADAGP)も問い合わせに応じてくれるでしょう。

→ ヤフオクの「シャガール リトグラフ」


シャガールには、リトグラフではないエッチングなどの版画もあるので、こちらもチェック!

「聖書物語(The Bible, 1931-39)」など、1920年代、30年代のエッチングです。

→ ヤフオクの「シャガール 版画」

ちなみに、ミロ、ピカソ、ダリ、マティスなどのリトグラフ作品も、考え方は基本的におなじです。

ダリは刷り過ぎです。刷り過ぎると作品の価値はさがります。

→ ヤフオクの「ミロ リトグラフ」

→ ヤフオクの「ピカソ リトグラフ」

→ ヤフオクの「ダリ リトグラフ」

シャガールやミロ以外の、リトグラフ全般をみるのもたのしいですよ。

→ ヤフオクの「リトグラフ」

意図的であるかないかにかかわらず、ネットにはたくさんまがいものが出回っています。

いいかげんな鑑定書や、存在するはずもない美術館ラベルなどが平気でつかわれています。

オークション会社にはそこまでわからないので、野放しです。

ネットで買う場合はダメもとで、リスク管理はしっかりしましょう。

さんこうまでに

* 葛飾北斎の版画
* アイズピリ、カトラン、ジャンセン、ギヤマン、ビュフェ、ガントナー、ブラジリエ、シャロワ、カシニョール、デペルト。